AMP対応その前に。メリットとデメリットを比較
SEO日々モバイル検索をして検索結果をウォッチしているとちょっとした変化が気になったりします。AMPラベルもその一つです。AMP対応したニュースサイト・ブログは多数あるので、キーワードによっては「AMP・AMP・AMP・・・」なんてこともありますね。しかし、GoogleはAMPを推奨してはいても常にAMPで提供している訳ではありません。
有効なAMPページ、かつ構造化データとして正しい状態でも検索結果でAMPで表示される時もあれば、通常のウェブページが表示される時もあります。現状AMPで提供するかどうかはGoogleのさじ加減で決まります。AMP対応=AMPでウェブページを提供、とは限りません。
現状ではAMPは検索順位のランキング要因ではない
2016年2月26日のものですが、GoogleのJohn Mueller氏が語っています。
「現時点では、ランキングのシグナルではありません。AMPを使用してモバイルフレンドリーになることを説明しましたが、AMP自体はランク付けの信号ではありません。」
▼Google+
https://plus.google.com/events/cjjsaas8cr423jb6nho3nfqooho
日本のGoogleウェブマスター向け公式ブログでも同様に語っています。
「6. 検索結果のランキングに影響はない
有効で表示可能な AMP ページが含まれているかどうかは、検索結果ページでのサイトのランキングには一切影響しません。違いは、サイトに AMP 版が含まれていると、検索結果に The AMP logo アイコンが追加されることです。」
▼顧客のサイトを AMP 化するための 8 つのヒント
https://webmaster-ja.googleblog.com/2016/09/8-tips-to-amplify-your-clients.html
AMPの表示はGoogleのサーバー上である(AMPキャッシュ)
私はここが大きな問題であると認識していますが、Google検索結果からAMPで表示されるページは自社のサーバーではありません。GoogleがAMPとしてインデックスしているコンテンツをGoogleサーバー上で表示しています(AMPキャッシュ)。しかし、ユーザーはそのことを理解していない可能性があります。Googleのサーバー上であるということは画面上部のURL部分を見るしかありません。それだけでどこまで認識できるのかは疑問です。
「情報が間違っていたので訂正した」
「古い情報だったので最新の内容に変更した」
その結果が即時に反映されない可能性があります。情報の正確性を第一に考える場合はこの点がネックになります。ECサイトで訂正前の金額が表示されていたとしたら・・・。AMPに対応するならば、情報が最新でない可能性があることを明記しておいた方が良いと言えます。しかし、そういった対応をウェブマスター側が行うことに疑問はありますが。
また、AMPキャッシュページ内でフォーム送信をする場合もセキュリティ面を考慮の上、導入可否を決めましょう。AMPキャッシュページは自社サーバー内ではないことを理解してください。
AMP対応するとリンクが減る可能性がある?
AMPキャッシュページを共有するとURLはGoogleサーバー上のものとなります。例えばこのようにコピーをすると自社コンテンツなのにURLはGoogleものに。
このままソーシャルで拡散されると当然AMPページが共有されます。拡散するならオリジナルのページが望ましいですよね。本来オリジナルページが獲得できたリンクもAMPページに集まってしまう。その扱いはGoogle次第というのも、さじ加減一つで変わってしまいます。SEOは最適化対策であるので、不要なマイナスは避けた方が良いと考えます。少なくともオリジナルページのURLをコピーさせる導線(ボタンなど)は用意しないといけませんね。
AMP対応するならテンプレートのカスタマイズは必須である
WordPressをAMP対応する場合はAMPプラグインを導入するだけなので簡単です。しかし、デフォルトの状態ではコンテンツ部分だけが抜き出されたページになります。当然直帰されることは想定できるので独自にカスタマイズする必要があります。外部スタッフに発注している場合は当然コストが増加します。また、Wordpress以外ではAMP形式に準拠したテンプレートを構築しないといけません。AMP対応によるコスト増は避けられないでしょう。
Google Analyticsの計測には注意が必要
AMPページから他のウェブページへ遷移すると、Google Analytics上では「cdn.ampproject.org」からのアクセスとして計測されます。しかし、AMPページへの流入はオーガニック検索です。つまり、オーガニック検索は直帰として計測され、加えて「cdn.ampproject.org」からのリファラアクセスが計測されるのです。Google Analyticsで正しい計測ができないのでご注意ください。
▼AMPページから通常ページへ流入するとオーガニック検索と参照サイトの両方計測される
https://www.web-ma.co.jp/column/seo/653.html
表示の速さと目立つ表示は魅力的
というように何が何でもAMP対応という訳ではなく、導入前によく検討してください。確かにAMPで表示されたページは高速です。「従来に比べ平均 4 倍の速度で表示され、データ量も約 1/10 に抑えられるため、ほとんどのページが瞬時に表示されます。」というのは伊達ではありません。ユーザーメリットがある点も理解できます。
そしてモバイル検索時に、検索結果内の「トップニュース」の項目下に AMP対応のページが表示されること、検索結果でAMPラベルが表示されるので目立つことはメリットと言えます。メリット・デメリットを理解した上で判断してください。
- 執筆者:日下誠彦
- 株式会社エフティスマイル代表取締役。上場企業でのSEO・SEMの実績多数。現在は企業のSEO・インターネット広告におけるコンサル業務、及び自社サービスのSEO・SEM戦略を行っている。
「ECサイトをより便利にしたい」「もっと集客したい」ECカスタマイズはお任せください